【CDレビュー】”Physical Graffiti” by Led Zeppelin

<突出しのトピック3点盛>

・1975年(昭和50年笑)発売の通算六作目にして、LP4枚組(CD2枚組)の初めての大作アルバム

・(このアルバムを持っているかが)フツーのZEP好きと「それなりの」ZEPファンとの境目!?

・IIIと同様にアナログ(と紙ジャケCD)では、ジャケットにギミックを採用(アルバムタイトルが表示されるような内紙が入っているが、取り外して各盤のインナースリーブをセットすると、窓から様々な人物の顔が見える趣向)

記念すべきレビューの1作目である。2024年(令和6年)元旦の朝8時にこんなものを書いているのも暇人の極みというべきだが、「1年の計は元旦にあり」というくらいなので継続できることを願うしかない。

Led Zeppelin(以下、長いのでZEP)は、私が唯一ファーストから順番にアルバムを買い集めたアーティストである。何故かロックを聴き始めた頃から、このバンドだけは順番に聴かないとその後の人生に悪影響を与えるかもしれないと思い、通称「IV」が名盤中の名盤で、まずここから聴くべきだ、などという典型的なアドバイスに耳も貸さず、中一の冬にファーストを購入してから小遣いを貯めて買い進めていった。(「借りる」という選択肢も排除していた。)

このアルバムは大作であることも影響し、前5作に比べて通して何度も聴いたという人は少ないのではないか。後年パフ・ダディにサンプリングされた”Kashimir”(ハリウッド版ゴジラのサントラに収録)やHR/HMファンにもアピールする”The Wanton Song”などの有名曲も入っているが、全体的には抑え目の曲調が多い印象であり、これがZEPのナンバーワンアルバムだという人は中々いないと思われる。要は他に比べて「地味な」アルバムであり、HRの始祖たるZEPのイメージから離れているということなのだろうか。

しかしながら自身が40代になり、時折「加齢」とか「衰え」とか「疲れ」という言葉を意識するようになると、”In My Time of Dying” とか “Down by the Seaside”などといったタイトルに惹かれるような気がしてくるから、Creamでアツいブルースロックを散々に繰り広げたクラプトンがレイドバックしたようなものだと思えば、オーシャンブルーバードやレイラくらいの位置付けと考えられなくもない。

さて肝心の楽曲であるが、全体的なレビューは世の中にいくらでもあるので、楽器を弾く立場から1曲挙げるとしたい。私自身がギターを30年続けており、ドラムの心得も多少あるため、それぞれのポイントから1曲を選びたいところだが、このアルバムについては両方”The Wanton Song”かなと感ずる。

まずイントロのリフとリズムパターンからして、いかにもZEPらしいサウンドが展開されるが、いわゆるBメロやサビに当たる部分がインストパートのみという、意表を突くアレンジである。しかしこの構成により、やたらとペイジのギター音色が耳に残るが、参考文献などによるとレスリースピーカーを使用しているということだ。

いずれにしても、年末年始などの時間のある時にじっくり通しで聴いてみて、自身の過去と行く末に思いを至らせるお供にも最適ではないだろうか。

ちなみに本編最後の曲名は”Sick Again”であるので、現在健康な人もくれぐれもお身体はご自愛のほど。

<参考文献>

・『シンコー・ミュージックMOOK レッド・ツェッペリン ー幻惑されてー』クリス・ウェルチ著  ISBN4-401-70012-0